スコア記録係 scorekeeper
ブランダムは、「規範」をア・プリオリな道徳法則から導き出されるものでも、物理的因果関係に基づく──他の人間から是認してもらえ、結果的に自分に快楽をもたらす行動を選択するといった形での──行動パターンから派生するものでもなく、言語的な慣習=実践(practice)の面から捉えようとする。
ゲームのルール=規範がどのような言語的コミュニケーションから成り立っているかという問題として捉える
日々の対人的な行為の際自分や相手がどうしてそうするのかそうすべきか理由を与え合っている
例
Aさんはビジネスにおいて自分のプライベートな事情に言及しないことにしている。理由はそれが相手との信頼関係を安定的なものにすることにつながるから
あるいはそう推測できるような振る舞いをする
Aさんは実際ビジネスの場で自分のプライベートには言及しない かつ それと密接に関連するポイントに気を配っており一貫している
密接に関連するポイント = 個人的事情でビジネスパーソンに迷惑をかけない、自分のプライベートに言及しないことで別の問題を引き起こさない
それを見ているBさんは、Aさんが「ビジネスにプライベートを持ち込まない」というルールにコミットしており、そのルールから生じる帰結に責任を負おうとしており、従ってAさんはそのコミットメントを実行する資格がある、延いては、他人にも自分と同じように振る舞うよう要請する資格があると認定する
Bさんはそのことを念頭に行動するようになる
Bさん=スコア記録係
規範はアプリオリなものなのか経験的な物なのかという伝統的な問題を回避すると友に、理由に基づく行為を物理的な因果関係と矛盾しない形で説明できる